オーケストラの選曲
2003.2宗形健一作成
1、はじめに
2、楽器ごとのまとめ
@セクション
A楽器
3、作曲家・作品ごとのまとめ
@バロック
A古典派
B初期、盛期ロマン派
Cスラブの作曲家
Dフランス、イタリアの近代音楽
E後期ロマン派
F現代
Gライト・クラシック
Hポップス
1、はじめに
アマチュアオーケストラの選曲は難しい。様々な制約があり、全パートの要望をすべて満たすことはできない。また最大公約数的な選曲をすると無難な曲に決まってしまい、団員の「やりたい曲」ではなくなってしまうことがよくある。一方、演奏会を想定した場合、聴き手に飽きさせないような選曲もまた必要である。
演奏会の曲順は「序曲→協奏曲→交響曲」もしくは「序曲→組曲→交響曲」が一般的であろう。ここでバランスよく組み合わせた例を一つあげてみよう。
序曲 シベリウス:交響詩「フィンランディア」 やや重い曲だが、金管・打楽器が揃っていれば彼らのストレス解消によい。 協奏曲 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 軽い音が要求される曲。金管の人たちにはスタミナ回復につとめてもらおう。逆に弦・木管は結構活躍し、やりがいがある。 交響曲 チャイコフスキー:交響曲第4番 また金管・打楽器が活躍する。ユニゾンが多く、オケとしての充実感もある。 アンコール1 バッハ:G線上のアリア 観客と金管に、一息ついてもらいましょう。 アンコール2 ビゼー:「アルルの女」第2組曲よりファランドール チューバが含まれていないが、あとは全員出演。チューバもバストロとユニゾンで吹いてもらいましょうか。 |
なお協奏曲を演奏する場合、選曲はソリストとの話し合いとなる。レパートリーにない曲をやる場合は、ソリストに多大に負担をかけてしまう。よって無難な曲になる場合が多い。
◎楽器ごとのまとめ
弦楽器
選曲に関して、ほとんど制約はない。ただし「その他大勢」に慣れている弦楽器は一人だけで演奏する「ソロ」に弱い。よって長いソロ、難しいソロ、大きな音が必要なソロがある場合は、各パートとよく相談して決めた方がよい。また後述のように、古典派は第1ヴァイオリンの比重が高いので、各パートの実力が伯仲している場合,第1ヴァイオリン以外のパートの良さを引き出しにくい。
木管楽器
イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴットをどうするかが重要である。特に楽器を所持していないオーケストラは、他の楽器で代用するか、楽器を(奏者付きで)借りるか、買うか、演奏をあきらめるかの選択に迫られる。なおフランスやアメリカの近現代の作曲家はサキソホーンを導入している場合があり、上の3つの楽器と同様の選択を迫られる。
金管楽器
もっとも制約の多い楽器群である。編成に含まれていない場合もあるし、ワーグナーチューバなどの特殊な楽器を必要する場合もある。また奏者の腕が十分でない場合、高い音が出ない場合もあるので注意が必要である。金管の音外しほど、気になるものはない。へばりやすいのも金管パートの特徴で、「手間のかかる奴ら」と、他の団員から哀れみ(怒り)の眼で見られることがしばしばある。
打楽器
これも制約が多い。編成に含まれていないこともあり、またあってもティンパニだけが多い。またシンバルや大太鼓などはほとんど休符という場合もある。打楽器については配慮しなければならないが、配慮しすぎると選曲の身動きがとれなくなる。
その他の楽器
何といってもハープ。ハープ有りを標準編成とし、奏者を常時在籍させるアマチュアオーケストラも見られるようになった。しかしハープのないオーケストラは、楽器と奏者の手配をしなければならず、その謝礼は数万円となる。しかも「ステリハ本番」のことが多いため、ハープが重要な楽曲では練習にも支障がでる。演奏会負担金の増額も懸念される。
なおバロック期の楽曲にはチェンバロ、現代曲にはピアノが使用される場合が多い。またオルガンが含まれる曲もしばしば見られるが、演奏会場にパイプオルガンがなければ、小型オルガンやシンセサイザーで代用するしかない。
声楽
大規模な管弦楽曲には声楽が導入される場合もある。一番有名なのはベートーヴェンの第9。数が多いので全員に謝礼を払うのが大変である。ジョイントコンサートの形で演奏すればよいのだが、プログラミングが難しい。特に声楽の部分が短く器楽の部分が長い曲は。ジョイントコンサートとしてふさわしくない。第9ならば「歌いたい」という人々で臨時の合唱団を結成することも出来るだろうが、マーラーの交響曲等ではそれも無理。
・楽器
第1ヴァイオリン
とにかく旋律を担当する。古典派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど)の交響曲においては「曲の半分以上が旋律」ということもある。よって第1ヴァイオリンが「練習してようやく曲が通る」という状態の場合は、古典派を選ばない方が無難。現代に近づくほど第1ヴァイオリンの重要度は相対的に低下するが、難技巧や高音も増加するので注意。またチャイコフスキーのように「ffになればヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのユニゾン」という作曲家は楽だが、ブラームスなど「とにかく第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロは別声部」という場合は負担が大きい。スコアをよく見て難易度を測ろう。なお、『シェエラザード』のように難しいソロがある場合もあるので、コンマスの腕とも相談が必要。
第2ヴァイオリン
曲によって面白さが異なる。J.シュトラウスのように「とにかく裏打ちの連続」という曲はやっぱりつまらないと思う。一方でチャイコフスキーのように「いつも旋律は第1ヴァイオリンとユニゾンかオクターヴ下」というのもつまらないかも。「オーケストラ全体に推進力を与える刻みを奏す」「副旋律を奏して第1ヴァイオリン等との掛け合う」のがバランスよく配分されているとオイシイ。
しかしアマオケでは、ヴァイオリンの初心者が第2ヴァイオリンの大部分を占める場合もある。そういう場合に、第2ヴァイオリンからのフーガなどがあると「オケ大崩壊」ということもあるので、パートの技量に合わせ選曲しよう。なお第2ヴァイオリンやヴィオラを経験すると、オーケストラ全体を見渡せるようになるので、余力のあるオケは第1と第2のコンバートを定期的に行うとよいだろう。
ヴィオラ
第2ヴァイオリンとほぼ同じ。ヴィオラは渋い固有の音色を持っているので、旋律を担当することもある。ただし @ヴィオラは楽器の構造上大きな音が出にくい A楽器が大きいのでハイポジションが演奏しにくい という欠点がある。そのためパートの音量が小さくなり「微音等(ビオラ)」と罵られたり、高音の音程をはずしやすく「ヴァイオリンに旋律を移し替えた方がいいんじゃないの」と同情されたりする。というわけで、高音で主旋律を演奏する曲を選ぶのは勇気がいる。
チェロ
古典派はコントラバスといっしょに「頭打ち」や「刻み」を行う場合が多く、あまりオイシクない。時代が新しくなるほど、チェロは旋律楽器、内声楽器としての役割が多くなりオイシクなる。ただし考えられないようなハイポジションを使う場合があるので、技術的に不安がある場合は、指揮者にイジメられてしまう。
もっとも「頭打ち」や「刻み」でその人の技量がわかるといわれる。アンサンブルの土台となる頭打ちや刻みを作るためには、それなりの技術と経験が必要である。自分たちの技量upのためには古典派をやるべし。
コントラバス
コントラバスという楽器には様々な大きさがあり、その最低音がEに落ち着いたのも最近である。だからベートーヴェンの時代までは、チェロのオクターヴ下をそのまま弾くような形で書かれた。だから最低音はCである。近年は最低音Cを演奏できる五弦バスを所持しているアマチュア奏者も増えてきている。
古典派の頃までは「コントラバスの速いパッセージは、それらしく弾けば良い」と考えられていたらしく、ベートーヴェンの交響曲などには「正確には弾けないんじゃないか」という箇所がある。だからコントラバスは(一部のソロやディヴィジなどを除けば)、かえって古典派以前の方が難しいと考えられる。なおコントラバスは発音と(難しくない部分の)音程が大切で、それによってオーケストラ全体の印象が大きく異なる。「楽器が鳴らしやすい曲か否か」が難易度のものさしとなる。
フルート/ピッコロ
モーツァルトの時代までは性能が不安定だったため、あまり多用されなかった。しかし近代の曲、特にフランス音楽においては非常に重要な楽器である。「牧神の午後」のようにフルート・ソロが全曲の鍵となる曲すらある。
ところでフルート吹きにとっていやな作曲家はだれか。私の知人は、意外にもチャイコフスキーと答えた。ヴァイオリンや他の木管とのユニゾンがやたら多い上に、fffのトランペットとのユニゾンで最低音付近を演奏したり、とにかく目立たない。いくつかの印象的なソロがあるが、それ以外の部分は本当につまらないという。だからフルートに不安を持つオケはチャイコフスキーがいいのかも?
オーボエ
モーツァルトの時代までは、オーボエは木管の代表的楽器であった。他の木管楽器よりも性能が安定していたのであろう。しかし現在、もっとも当たりはずれのある木管楽器はオーボエである。特に上級生がトップを吹く学生オケでは、「何でオーボエだけ上手くないの?」ということもある。逆に上手ければ、もっとも印象的な木管楽器となる。何しろオーボエの音は会場までよく通るのだから・・・。
クラリネット
クラリネットは難易度的に制約の少ない楽器である。下手な奏者もあまり見かけないが、1,2回のリードミスはご愛嬌といえる。 よって難易度よりは @管の持ち替えの問題。A管が人数分揃っているかどうか AバスクラリネットやEsクラリネットが編成に含まれているかどうか が選曲の際の検討点となる。
バス−ン(ファゴット)
オーボエと同じダブルリードであるが、発音が容易なため、オーボエよりは安定している。なお高音域に独特の艶があるので、その音域をあえて多用する作曲家もおり注意が必要。なおベートーヴェン、ブラームスの曲はコントラファゴットを使用している場合が多く、楽器を入れるかどうかでよくもめる。普通はコントラバスとのユニゾンだからである。しかしコントラファゴットの低音には独特の迫力があるので、音色的には是非欲しいところだ。またフランスの作曲家は、2管編成でもファゴット4本のオーケストレーションが普通である。しかもフランスでは「バッソン」と呼ばれ、ファゴットと異なる音色を持っていた。
ホルン
「オーケストラの中で一番難しい楽器は何か」という問いに対し、オーケストラ団員は「ホルン」と答えるという。それだけトチりやすい楽器などである。チェロとほぼ同じ音域を持っているが、オーケストラにおいては、ヴィオラとユニゾンということが多い。だからCの音ぐらいの高さになると、もう安定して演奏できるアマチュアホルン奏者は少なくなる。ましてや新世界のE音などは、ホルン奏者が「あたった、あたった!」と喜ぶほどあたらない。
トランペット
オーケストラの中でもっとも際立って聴こえる。はずしたときの破壊力はすさまじく、トランペットだけがはずしまくった演奏会のアンケートなどをみると「オーケストラの音程が悪い」「アインザッツが合っていない」などとトンチンカンな評価が表れる。つまりトランペットの評価=オーケストラの評価となっている。この楽器もC音以上は苦しい(ホルンの1オクターブ上)のため、選曲にも注意が必要である。またバロックでは通常考えられないような高音を要求され、高度なブレスコントロールも必要なことが多いので注意
なおフランスやイタリアの2管編成のオーケストラでは、トランペット2、コルネット2という使い方が多い。トランペットの少ない団体は注意すること。
トロンボーン
トロンボーンがオーケストラに組込まれた最初の重要な交響曲としてあげられるのはベートーヴェンの「運命」である。ハイドンやモーツァルトの交響曲ではトロンボーンが全く使われていない。またチューバが使われたのはもっと遅く、ワーグナーの中期以降である。
しかも現在の楽器に適していない使われ方をしている。古典派の時代にはアルト、テナー、バスが3台一組で使われた。問題となるのはアルトトロンボーンパートで、ふつうのアマチュア奏者が安定して出せるG音よりはるか上のDやE音が常用される。ベートーヴェンやシューマンの交響曲がそうだし、ドヴォルザークの初期〜中期も音が高い。ふつうのトロンボーン奏者には出せない音域であるので、上手いエキストラ奏者を使うか、他のパートに音を移し替えるなどの作業が必要である。
チューバはさらに事情が複雑である。「チューバ」として現在使われている楽器は、コントラバスチューバである。それに対して、ベルリオーズのチューバはオフィクレィド、メンデルスゾーンはセルパンというように他の楽器を想定して書かれているパートである。またフランスのチューバパートは、ベルリオーズに限らず高音に偏って書かれているが、現在使われている「チューバ」より小さい楽器を想定している。場合によってはユーフォニアムで演奏する。
さらにワーグナーの後期作品やブルックナーの7,8番では「ワーグナーチューバ」が必要だが、これも小型のチューバで「コントラバスチューバ」ではない。まず自前でワーグナーチューバを持っている個人や団体はないので、借用(奏者付き?)が必要だろう。なおワーグナーチューバはホルン奏者が吹き、ブルックナーなどではホルンとの持ち替え楽器となっている。
ティンパニ
現代に近づくに従い、性能が飛躍的に向上した。特に音替の場合、古典派の時代は複数のネジを、バランスを取りながら調整する必要があった。そのため楽章内での音替はない。その後ペダルの普及等により音替が簡単になり、楽章内でしばしば音替をするようになった。チャイコフスキーの後期交響曲は音替が多いことで有名である。よってその団が所持しているティンパニの性能によって選曲が変わってくる。
またティンパニには普通5つのサイズに分かれ、その音域はそれぞれ異なる。よって高すぎる音、低すぎる音がある場合は演奏できないことがある。また幻想交響曲や「惑星」等2名以上のティンパニと4台以上の楽器を必要とする場合があるので注意すること。ティンパニは運搬が大変なので、練習の回数が制限される。
その他の打楽器等
・標準装備-大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、鉄琴(グロッケン)
使用頻度が高く、楽器価格も比較的安いのでたいていのオーケストラでは揃っている。よって演奏者が揃えばOK。大太鼓やシンバル、トライアングルは降り番の弦管奏者がたたく場合もあり。
・その他の使用頻度が高い楽器-どら(タムタム)、木琴(シロフォン)、ヴィブラフォン、
ドラムセット、ウッドブロック、むち、ボンゴ等
借用も大変、楽器保管も大変、そして返却も大変。みんな協力して運搬の手伝いをしよう。
本当に特殊な楽器
チェレスタ(くるみ割り人形、マーラーなど)、カウベル(マーラー6,7番)、風音機(アルプス交響曲)、大砲(1812年)、ハンマー(マーラー6番)、ギター、マンドリン(ローマの祭、マーラー7番)等
◎作曲家・作品ごとのまとめ
・バロック
楽器・奏法が現代のものと大きく違うということで、オーケストラのプログラムに載ることがほとんどなくなった。むしろストコフスキー編曲の「トッカータとフーガ」など、近代管弦楽法によって編曲されたものを使うのが普通である。
@ヴィヴァルディ
オーケストラの編成は弦とチェンバロ。協奏曲がほとんどなので弦や管のソロが1〜4本程度入る。ソロも技術的に高度なものが要求されないので、ちょっと上手い奏者がいれば、アマチュアでも演奏可能。ただし編成が小さいので、総数は20人が限度である。
*「四季」ヴァイオリン協奏曲である。上手いヴァイオリン1名と、結構弾けるチェロ1名、それにチェンバロがあれば格好がつく。弦楽オーケストラ向き。
AJ.S.バッハ
トランペットは高音を要求されるので、ふつうのアマチュアではほとんど無理。また曲によってオーボエダモーレやヴィオラダガンバなどが使用されるので、楽器が揃わない場合が多い。また編曲ものは編成が大きすぎる場合があるので注意。なお編曲もの以外は、必ずチェンバロが必要。
*管弦楽組曲 フルートと弦による第2番は、上手いフルートがいれば演奏可。第3番のアリア(G線上のアリア)は弦のみなので広く演奏される。
*ブランデンブルク協奏曲 ソロ楽器が曲によって異なる。よく演奏されるのは、ヴァイオリン3ヴィオラ3チェロ3コントラバスの第3番と、フルート、ヴァイオリン、チェンバロを独奏楽器とする第5番である。このソロもアマチュアでも可。
Bヘンデル
バッハと基本的に同じ。合奏協奏曲Op.3,Op.6は室内オケで検討してもよいだろう。
*水上の音楽 原曲の演奏は、(曲にもよるが)アマチュアでは無理。ハーティによる近代管弦楽への編曲ならば大丈夫だと思うが、それでもホルン・トランペットの負担は大きい。
・古典派
最低限の編成はオーボエ2、ホルン2、弦楽器。時代が下るほど編成が拡大される。当時制約の大きかった管打楽器はあまり使用されず、弦楽器(特にヴァイオリン)が中心。
@ハイドン
初期のものは、編成、楽章数とも多様である。パリ交響曲(82番〜87番)以降になると編成がほぼ固まってきて、第2期ザロモンセット(99〜104番)ではトロンボーンを欠く標準2管編成となる。
*交響曲第100番「軍隊」 第2楽章で大太鼓、小太鼓、シンバルを使用。
Aモーツァルト
ハイドンと同じように、初期のものは編成、楽章数とも多様。トロンボーンを除く標準2管編成の交響曲は「パリ」「ハフナー」のみ。40番はフルート、トランペット、ティンパニを欠き、「ジュピター」はクラリネットを欠く。
*交響曲第25番 ホルン4、しかも音が高い。
*交響曲第35番「ハフナー」 第4楽章は指が回らない。
*「魔笛」序曲 トロンボーンを加えた標準2管編成のため、よく演奏される。
*「アイネクライネナハトムジーク」 弦楽器だけ。第2楽章のグルペットは難しい。
Bベートーヴェン
楽器の限界を超えたオーケストレーションをしばしば行う。編成も拡大していくので、フル編成のオケにはありがたいが、難所がいくつかあり、有名曲だけに演奏者を悩ませる。
*交響曲第1番 入門曲としては最適。結構ベートーヴェンらしい気合が必要。
*交響曲第2番 軽快な第4楽章が難関。
*交響曲第3番 ホルンが吹ければ・・・。演奏時間50分は観客には少々キツイ。
*交響曲第4番 最難曲。軽快な第4楽章が特に難しい。ファゴット殺し。
*交響曲第5番 トロンボーンは大丈夫ですかー。
*交響曲第6番 第1,2,3楽章はトランペット、トロンボーン、ティンパニ不要です。中途半端な速さの第5楽章が難関。
*交響曲第7番 ホルンが吹ければ・・・。低弦鳴りにくい。
*交響曲第8番 軽快な第4楽章が難関。第3楽章も難しく、7番より大変。
*交響曲第9番 トロンボーン、ティンパニ以外の打楽器は4楽章から。合唱・独唱をどうする?
*「エグモント」序曲 トロンボーンなし。入門曲。
*「コリオラン」序曲 トロンボーンなし。入門曲。
*「レオノーレ」序曲第3番 最後は合いにくいよ。「エグモント」「コリオラン」より難。
トロンボーンを加えた標準2管編成が少しずつ拡大していく。
@シューベルト
初期は家庭音楽会用で編成が小さい。「未完成」「グレート」は全楽章トロンボーンを加えた2管編成。
*交響曲ハ長調「グレート」 演奏時間は約50分、大したことないと思うと、パート譜の音符の数が多いので愕然とするはず。
*交響曲ロ短調「未完成」 1,2楽章ともトロンボーン有り。オーボエ、クラのブレスが大変。
Aロッシーニ
軽快な音楽は演奏が難しい。トロンボーンを欠く曲も多い。またバストロンボーンのみという曲もある。
*序曲「ウィリアム・テル」 冒頭のチェロ5重奏、オーケストラ殺しと言われる最後のアレグロ。有名曲だが難曲。バストロあり。
*序曲「セヴィリアの理髪師」 バストロあり。入門曲。
Bウェーバー
有名曲にはトロンボーンが含まれる。「魔弾の射手」「オべロン」「オイリアンテ」の各序曲はトロンボーンも入り、アマオケで取り組みやすい。ただし「舞踏への勧誘」はベルリオーズ編曲なのでハープあり。
*序曲「魔弾の射手」 トロンボーン3。入門曲。
Cメンデルスゾーン
「スコットランド」「イタリア」ともトロンボーンを欠く。軽快な音楽で演奏は難しい。
*交響曲第4番「イタリア」 トロンボーンなし。第3,4楽章が難しい。
*結婚行進曲 トロンボーンセクション有り。トランペット3。入門曲。
Dシューマン
オーケストレーションが下手ということで有名。特に管楽器は意味もなく吹きっぱなし。ただしリハーサルが多く取れるアマオケこそ名演が期待できるかも。
*交響曲第3番「ライン」 ホルンとトロンボーンはハイトーン。該当奏者の許可が必要。
*交響曲第4番 トロンボーンには目立たないハイトーンあり。
Eワーグナー
後期になると編成が肥大化する。
*「マイスタージンガー」第1幕への前奏曲 本当の編成は大きく、ハープも入る。しかし「威風堂々」と同じで、なぜか無い楽器があっても演奏会に載せてしまう曲の一つである。
*「ワルキューレの騎行」 マイスタージンガーより編成が大きく、難易度も高い。また低音からピラミッド状にサウンドを積み上げていくタイプではないので、オーケストラを鳴らすのが難しい。
Fブラームス
編成はベートーヴェンにトロンボーンセクションが加わった程度。しかし第1ヴァイオリンにハイトーンの旋律が目立ち、それらしくオーケストラを響かせるのは難しい。
*交響曲第1番 トロンボーンは第4楽章だけ、しかも出番が少ない。またコントラファゴットとヴァイオリン・ソロの問題あり。
*交響曲第2番 チューバのある唯一のブラームス交響曲。トロンボーンセクションも1,2,4楽章にあるので出番の問題は少ない。
*交響曲第3番 コントラファゴットの問題あり。トロンボーンセクションは1,2,4楽章で使われる。ただしブラームス一の難曲である。
*交響曲第4番 トロンボーンは第4楽章だけ。またコントラファゴットの問題もあり。第1アヴァイオリンは音域が高く、大変である。
*大学祝典序曲、悲劇的序曲 交響曲第2番と同じフル編成。ただし大学祝典は、トランペット3と各種打楽器あり。
*ハンガリー舞曲 1,3,10番のみブラームスが管弦楽に編曲したが、トロンボーンなし。
Gヨハン・シュトラウスU
第1ヴァイオリンがそこそこ弾け、全体でウィンナ・ワルツのリズムがそれらしく演奏できればOK。でも第2ヴァイオリン、ヴィオラ、ホルンは、裏打ちの連続。耐えられるかな?
*美しく青きドナウ チェロの独奏があると思われているが、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートではチェロにユニゾンとなっている。
*序曲「こうもり」 接続曲。意外と難しい。チューバなし。
注)
ヨハン・シュトラウスT「ラデッキー行進曲」 まとめやすい曲。なお複数のアレンジがあるので注意。
曲がわかりやすく、編成的にもほぼ標準2管編成なのでアマオケの定番。経験年数が長い人だと「またチャイコとドヴォルザーク?遠慮しとくよ」と敬遠したがる。
@チャイコフスキー
管弦楽曲はハープ、チェレスタなど特殊な楽器が使われるので注意が必要。交響曲はほぼ標準2管編成であり、アマオケでよく演奏される。旋律のユニゾンが多いのが特徴。よってフルート奏者には評判がよくない。
*交響曲第1番 トロンボーンとティンパニ以外の打楽器は4楽章のみ。意外とキツい曲。
*交響曲第4番 ティンパニ以外の打楽器は4楽章のみ。1楽章のリズムが難しいが、ユニゾンが多いので意外と楽。
*交響曲第5番 打楽器はティンパニのみ。とにかく金管のスタミナ勝負。
*交響曲第6番 3楽章にバスドラ、シンバル。4楽章にドラ。演奏も4楽章が一番難しい。
*組曲「白鳥の湖」 作曲家が編んだ組曲はないので、構成曲は様々。ヴァイオリン・ソロの曲を選ぶ場合は、コンマスの力量に見合ったものを。多くの曲でハープ有り。
*組曲「くるみ割り人形」 作曲家が編んだ組曲である。ハープ・チェレスタ・バスクラ有り。
Aドヴォルザーク
ブラームスのオーケストレーションを基本的に踏襲しているが、音楽が単純なので鳴りやすい。ただし楽器の使い方や記譜はやや気まぐれ。楽譜自体も古い楽譜とスプラフォンの新全集でかなり異なる。
*交響曲第8番 ほぼ標準2管編成であり、アマオケでよく演奏される。ヴァイオリン・ソロとトランペット・ソロが重要。ある程度弾けるチェロパートも必要。ちょっとだけイングリッシュホルン有り。
*交響曲第9番 ほぼ標準2管編成 イングリッシュホルンのソロが有名。また4楽章にホルンのハイトーン(E)有り。
*スラヴ舞曲 チューバはない。有名な10番はトロンボーンもない。
Bボロディン
*だったん人の踊り イングリッシュホルンとオーボエの名手が1人ずつ必要。
CR=コルサコフ
*交響組曲「シェエラザード」 ヴァイオリン・ソロはソリスト級の奏者が必要。他にもハープなどが重要なので練習が大変。
Dムソルグスキー
*組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編) サックス、ハープ、チャイム等をまず揃えなくてはいけない。
Eスメタナ
*交響詩「モルダウ」 要ハープ。やたら疲れるオーケストレーションなので体力勝負。
Fシベリウス
後期の交響曲ほど編成が簡潔になり、交響曲第7番になるとチューバを欠いた標準2管となりハープもなくなる。しかし曲想は通好みのものに変化していくので、普通は初期の作品が取り上げられる。
*交響曲第2番 トランペット3だが、あとは標準2管編成。よってチャイコの5番と同様に、アマオケの中心レパートリーの一つ。
*交響詩「フィンランディア」 世界で一番簡単な交響詩と揶揄される。特殊楽器もなく、確実にアマオケの人気曲ベスト5に入る曲であろう。
19世紀はオペラやバレエが主であったので、管弦楽曲は発達しなかった。特に交響曲は、ベルリオーズなどドイツ音楽の影響を強く受けた一部の作曲家によって作られたのみである。また20世紀にはドビュッシー、ラヴェル、レスピーギなどが色彩的な管弦楽曲を作曲したが、特殊な楽器を使用する場合が多いので注意が必要。例えばレスピーギが作曲した「ローマの松」は、鳥の鳴き声のテープが必要。
@ベルリオーズ
18世紀生まれの作曲家だが、編成的にはマーラー以降の作曲家とほぼ同じ。
*幻想交響曲 ティンパニ2名、チューバ2名、鐘2つ、ハープ、小クラリネット、イングリッシュホルン・・・。借り物競争。
Aビゼー
*「アルルの女」組曲 要ハープ、サックス。楽器が揃えば、難易度的にもアマ向き。
*「カルメン」組曲 組曲の構成曲は様々なので、編成も曲による。そのオケにあった曲を選ぶべき。
Bサンサーンス
*交響曲第3番「オルガン付」 オルガン付。他にピアノ連弾あり。3管編成だが、あまり複雑な曲ではない。
*組曲「動物の謝肉祭」 特殊な室内楽的編成である。ピアノが重要。ハープはない。
Cヴェルディ
*序曲「運命の力」 要ハープ。アマオケの定番の一つ。トランペット4。
*序曲「シチリア島の夕べの祈り」 ハープなし。トランペット4。
Dレスピーギ
「ローマの祭」などの有名曲から「シバの女王ベルキス」まで、吹奏楽コンクール御用達。しかし管弦楽でやろうとすると編成の大きさに二の足を踏む。また、おいしいとこ取りの吹奏楽と違い、全曲となると難易度が上がるうえに、曲がつまらない。
*交響詩「ローマの松」 技術的には何とかなるが、編成大きすぎ。
*交響詩「ローマの祭」 「松」よりも問題は大きい。例えばマンドリン。
*リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲 弦楽器のみ。
編成、楽曲の規模とも大きいので、アマオケは取り上げにくい。「努力賞」に終わる演奏会も多い。
@ブルックナー
初期の編成は普通の2管編成だが、後期は3管編成となり、ホルンは8本となる。しかし人数の問題以上に1人ひとりのスタミナが重要。とにかく普通の交響曲の2倍以上の体力が必要です(特に5番まで)。
*交響曲第4番 唯一ふつうのアマオケで取り上げられる曲。でも体力的には、やはり大変である。
Aマーラー
編成が大きすぎるだけでなく、様々な特殊楽器を必要とする。やる気、体力、資力、社交性(借用のため)、妥協できる広い心などが揃っていないと実現できないだろう。オーケストレーションが凝っており、一つの楽器だけで一つの旋律を全部奏するということはない。fは全員、pは半分で、ppは1/4の人数、pppはソロで・・・。一人ひとりの奏者には意外とやりがいが感じられず、アマオケでは、指揮者だけが悦にいっているという演奏になりやすい。
BR.シュトラウス
細かい音符をすべて弾こうなどと思ってはならないし、作曲者もすべて音にできるなどとは思っていない。しかしそれらしく聴かせるのはやはり難しく、プロの方々にお任せした方がよいように思う。
・現代
後期ロマン派よりも、もっと編成が大きいか、特殊楽器が入るかである。バストランペット、バスフルート、ギロ・・・こんな楽器があるのを知っていましたか?全部ストラヴィンスキー作曲の「春の祭典」で必要な楽器。
@ショスタコーヴィチ
*交響曲第5番「革命」 アマオケで唯一取り上げられる交響曲。技術的には意外と楽。ただし最後は金管のパワーが必要。またコントラファゴット、ハープ、シロフォン、チェレスタなどをどうするかも大きな問題。
*祝典序曲 あまり特殊楽器を必要としないが、曲の最後でバンダ(別のブラスバンド)が必要なので、金管の多いオケに向く。
Aプロコフィエフ
*交響曲第1番「古典」 アマオケ編成こそ小さいが、かなりの技巧を要求される。君子危うきに・・・。
*交響曲第5番 「革命」より難易度が高い。特に最後は弦楽器の急速なソロ。
*管弦楽のためのラプソディ ホルン殺し。打楽器が揃えばウケる。
B新ウィーン楽派
難しそうでしょう。その通り。そして地方では、たとえいい演奏ができたとしても聴衆が理解してくれない。まあ「下手だった」とは言われないだろうが、会場中がZZZZZZZZZZZZZZ・・・となりそう。
Cバルトーク
*管弦楽のための協奏曲 難しい曲だが、極端にわかりにくい変拍子はない。腕達者が揃えばできるかもしれない。
有名なのは「ペルシャの市場にて」。「修道院の庭にて」など、アンダーソンよりも抒情的な作風である。
*「ペルシャの市場にて」 サックス、ハープが必要なので、あまり演奏されなくなった。
吹奏楽に比べて最も遅れている分野。楽譜の問題、楽器の問題がある。特にサックス、ドラムセットを必要とする曲が多く、一般の管弦楽団では人集め、楽器集めに苦労する。また著作権使用料が結構高いので、ポップスばかりやると、そちらの方の支払い額も馬鹿にならない。なおスコアには、大きく分けて下の4種類がある。
A.オリジナル・スコア 映画音楽などにはオリジナル・スコアが存在する。この通り演奏するとカッコいいのだが、技巧的な部分があったり、特殊な楽器が加わっていたり(エレキギターetc.)と、実際は多少の編曲やカットを必要とすることが多い。また楽譜も入手しにくいが、J.ウィリアムズのスコアは市販されている。
B.市販の管弦楽編曲 スタジオ・ジブリの映画音楽など、易しく編曲した楽譜が数社から市販されている。良心的な値段と編曲が魅力的なのだが、「届いてみたら編曲が悪くてガッカリ。」「(映画音楽など)やりたかった部分が含まれていない」などということも多く、楽譜が入手できるまでは不安である。
C市販の吹奏楽編曲に、弦楽器を付けくわえたもの 安易ではあるが、お手軽なので、多くの団体が行っていると思う。Cl.1をVnT、Cl.2をVnU、Cl.3をVaに移し替え、サックスやユーフォニウムなどのパートをVc,Vaに割り振ると完了である。なおミュージックエイトの編曲は、曲数が多く、最新のヒット曲も取り入れ、かつ演奏も比較的容易とメリットも多いが、あまり趣味のよい編曲とは言えず、飽きやすい。他にもいくつかの出版社があるが、やはり現物が届いてみないとわからない。
D
自前のオリジナル編曲 どこの管弦楽団でも器用な人はおり、ポップスや童謡の編曲を何とかこなしてしまう。ただプロに比べると響きがよくない編曲も多く、「できれば使いたくない」というのが一般のオーケストラ団員から評判がよくない。著作権には特に注意。
なおポップスを演奏する場合、聴衆との世代ギャップがありすぎると、聴き手をかえって飽きさせる結果となる。映画音楽ならば「ゴッドファーザー」「慕情」「風とともに去りぬ」「ムーンリバー」等、テレビ音楽であれば大河ドラマやテレビ小説の音楽・・・。ヒット曲はもちろん。選曲は難しい。
*「スターウォーズ」メインタイトル
金管、大丈夫ですか・・・。
*「風の谷のナウシカ」
変拍子の落とし穴がある。
*モーニング娘
曲によって凝った作りのものもある。
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